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新型コロナ関連

米国で見た新型コロナワクチン/米国立研究機関・峰宗太郎博士研究員に聞く

2021年1月9日付

 新型コロナウイルスワクチンについて、政府は2月下旬からの接種開始をめざしている。感染対策の決め手として期待される半面、気になるのが有効性や安全性だ。日本に先駆け、既に接種が進む米国に住み、米国立研究機関で新型コロナウイルスの研究にも携わっている峰宗太郎・博士研究員にワクチンに対する見解を聞いた。

■(日本も供給受ける2種類)予防効果高く、接種順調

 ――米国におけるワクチン接種の現状は。

 峰宗太郎・博士研究員 米食品医薬品局(FDA)がこれまでに緊急使用を許可したワクチンは2種類ある。一つが米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したもので、昨年12月中旬から接種が始まった。もう一つが、それから約1週間後に始まった、米モデルナ社と米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)によるワクチンだ。

 米国では、医療従事者や高齢者施設の入所者などを優先して接種している。全体観としては順調に進んでいる。どちらのワクチンも2回打つ必要があるが、1回目を終えた人は600万人に達する。

 ――二つのワクチンの効果などに差はあるか。

  結論から言えば、有効性(予防効果)も、安全性も非常に似通っており、共に高いレベルにある。二つのワクチンは「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」と呼ばれる、遺伝子工学を用いた新タイプのワクチンだ。

 ――具体的な予防効果は。

  最終段階の臨床試験(治験)で、いずれも約95%の予防効果を上げている。予防効果とは、ワクチンを打たない100人のうち20人が感染し、打った100人のうち1人が感染したとする。この場合、打ったことで感染者を20人から1人へ「95%」減らせたということを意味する。

 インフルエンザワクチンの効果が、年による変動はあるものの、30~60%であることを考えれば、約95%のすごさが理解してもらえると思う。

 ――二つのワクチンは日本も供給を受ける予定だ。安全性は。

  副反応は今のところ、強いだるさ(倦怠感)、痛み、発熱など一般的なものが中心だ。加えて重篤なアレルギー反応も100万件当たり11件ほどと、懸念していたほどではない。

 世界で初めて承認された新タイプのワクチンであり、当初は私も接種に慎重だったが、今は自分も打つつもりだ。次々と出てくる信頼性ある情報を見ると、説得力のあるものばかり。実用化までの期間の短さを考えても、これ以上の質は望めないと思う。

■信頼醸成へ情報公開がカギ

 ――接種率の目標をどう考えるか。

  多くの人が免疫を持ち、流行収束に向かう「集団免疫」を獲得するには、60~70%が目安となる。ワクチンを打ち始めたら、すぐに元の生活に戻れるわけではない。我慢がしばらく続くことは避けられない。

 日本では、今月7日に東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県に緊急事態宣言が発令された。政府の判断は妥当だと思う。

 大事なことは、この間に感染者数をしっかり減らし、2月下旬からのワクチン接種につなげていくことだ。

■科学的知見重視する公明の姿勢高く評価

 ――先行する米国の状況を踏まえ、日本への助言を。

  FDAによるワクチンの緊急使用許可を決める審議は、誰でも見られるよう、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開され、資料も事前公開された。こうした徹底した情報公開が、ワクチンへの信頼感の醸成につながっている点は見習うべきだ。

 米国でも、ワクチンは常に反対運動の的となってきた。今回もワクチンに反対したり、接種にちゅうちょしたりする人たちがいて、その広がりや過激さが問題視されている。間違った情報もかなり流れている。このため、米政府は広報に相当な力を入れている。昨年12月下旬には、バイデン次期大統領が接種する様子もテレビ中継された。

 日本のマスメディアの姿勢も問われる。正確な情報を伝えず、不安や恐怖感に訴え掛けて印象操作に走るような報道が幅を利かせてしまえば、後にどんなに理性的に説いても、信頼を取り戻すのは難しい。

 科学的な知見を重視する公明党の姿勢を高く評価し期待している。専門家で構成される政府の分科会が現在のように機能しているのも公明党の支えが大きいと見ている。この姿勢を今後も政権内で貫いてもらいたい。

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 みね・そうたろう 1981年生まれ。京都大学薬学部、名古屋大学医学部卒。東京大学大学院医学系研究科修了。医師(病理専門医)。薬剤師。医学博士。専門はウイルス免疫学。国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所などを経て、2018年より現職。20年12月に共著『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』(日経プレミアシリーズ)を発刊。