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新型コロナ関連

認知機能の低下を防ぐ/鳥取大学医学部・浦上克哉教授に聞く

2020年5月12日付

電話での“励まし”効果的

新型コロナウイルス感染症の影響で、外出の機会が減っている高齢者の認知機能の低下が懸念されています。現状の課題や日常でできる対策について、日本認知症予防学会の理事長を務める浦上克哉・鳥取大学医学部教授に聞きました。

浦上克哉教授
浦上克哉教授

――現状の課題は。

感染を防ぐため、特定警戒都道府県を中心に不要不急の外出を避け、人との接触を減らすことが大切になっていますが、実は認知症の予防に大切なこととは、正反対の関係にあります。

認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の兆候の一つに、外出を面倒くさがる出無精があり、外出を控える期間の長期化によって、認知機能の低下が促進され、MCIや認知症につながる恐れがあります。会話の機会が減っている一人暮らしの高齢者は特に注意が必要です。

――対策はありますか。

運動と知的活動、コミュニケーションの三つの実践が効果的です。運動については、例えば、3密(密閉、密集、密接)にならない場所での散歩など、1日30分以上の運動や体操を行うようにしましょう。有酸素運動は、脳の神経細胞を活性化させるホルモンを分泌させる働きがあります。

高齢者に多い転倒を防ぐため、下半身の筋力を鍛えるスクワットもお勧めします。膝や腰に痛みがある人は、座ったままできる、足を交互に持ち上げて膝を伸ばすといった運動を行ってください。

――知的活動は、どうすればよいですか。

頭を使って指先を動かすことが基本です。具体的には、トランプの神経衰弱や塗り絵、クロスワードパズル、俳句や川柳、楽器の演奏などがあり、鳥取県伯耆町で実施した実証実験では、認知機能を改善する効果が得られました。楽しく取り組めることを日課にしてほしいと思います。

実践のポイント
実践のポイント

――コミュニケーションの実践は。

可能な限り家族や友人との会話を楽しみましょう。感染予防で人と会う機会が減る中でも、電話を使えば音声で会話できます。専用アプリを使ったビデオ通話なら、互いの顔を見ながら話すこともできます。高齢の親族や友人に頻繁に電話をかけて互いに励まし、会話の機会を増やしてあげることは、認知症予防の観点からとても重要です。