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新型コロナ関連

高等教育の無償化がコロナ禍で担う大きな役割/日本大学・末冨芳教授インタビュー

2020年6月20日付

新型コロナウイルスの影響を受け、多くの学生が家計の急変やアルバイト収入の減少など経済的な窮地に立たされている。こうした状況下で大きな役割を担ったのが公明党の推進により今年度から実現した高等教育の無償化(メモ)だ。内閣府の「子供の貧困対策に関する有識者会議」のメンバーで日本大学教授の末冨芳氏にコロナ禍における同制度の意義を語ってもらった。

日本大学・末冨芳教授
日本大学・末冨芳教授

数十万人の学生を救う

――新型コロナの影響を受け、学生を取り巻く環境は悪化している。

私のもとにも、退学を検討しているという学生の悲痛な叫びが届いている。アルバイトがなくなったなど自身の問題だけでなく、家族の状況が悪化することによって生じる負担が子どもたちの学びに与える影響は計り知れない。

4月に困窮学生への支援策をまとめた記事をネットで公開したところ、20万件を超えるアクセスがあった。支援を求める学生や保護者の多さがうかがえる。

――高等教育の無償化が果たした役割は。

所得が平均の半分に満たない「相対的貧困」の世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合を見ると、日本は13・9%と先進国の中でも高く、およそ7人に1人だ。大学や大学院、専門学校などを合わせた学生の数が約360万人。全員が進学するわけではないが、少なくとも20~30万人は潜在的に経済苦を抱える学生がいると予測できる。

もともと生活に困窮している学生が、このコロナ禍において学業を継続することは非常に難しい。数十万人の学生が高等教育の無償化によって救われたと言えるのではないか。

高等教育無償化のイメージ
高等教育無償化のイメージ

家計急変にも迅速な対応

――新型コロナの影響で家計が急変した学生も無償化の対象になっている。

コロナ禍にあって家計の状況が悪化した学生に支援の手が差し伸べられたことは大きい。無償化の制度が整っていたことにより、3月には対象が拡大されるなど、迅速な対応ができた。

生活が困窮した学生を支える最大20万円の「学生支援緊急給付金」(今年度第1次補正予算の予備費を活用)など、より困っている人たちへの手厚い支援ができたのも、低所得層に向けた高等教育の無償化という土台があったからだ。その意味では、無償化の制度がコロナ禍に“間に合って良かった”と強く感じている。

公明の寄り添う姿勢は一貫

――公明党は高等教育の無償化を推進してきた。

公明党の姿勢は、最も困難な状況にある子ども、若者に寄り添うということで一貫している。

高校卒業後の進学支援制度はこれまで、高い成績などの能力要件が前提であり、「低所得」を主たる要件とした制度はなかった。

しかし、低所得層の子どもたちは、アルバイトが必要であったり、複雑な家庭環境によって学習に十分な時間を割けない子が多い。

現場の声から、子どもたちの学びだけでなく、暮らしや心の問題にも焦点を当てて、高等教育の無償化を推進し、実現に結び付けた公明党に感謝している。

――今後の課題は。

不況が長期化すれば、次の授業料の納入時期である秋以降も、退学や進学断念を考える人は増加する。現在の高校3年生を含め、進路を保障する道筋をどう付けていくのか。暮らしの下支えとともに、子どもたちが学びを「やめない、諦めない」ための取り組みを与党の一員として公明党には強力に推進してもらいたい。

この制度があって「本当に助かった」/大学4年生Aさん(21)の声

東京都内にある大学の理工学部に通っています。新型コロナウイルスの感染拡大によって、家族が経営する会社の売り上げが半減。貸与型の奨学金を限度額まで利用し、授業料や生活費を工面していたため、これ以上、家計が苦しくなったらどうすればいいのかと焦りました。

こうした時、大学の先輩から高等教育の無償化の対象に家計が急変した学生も含まれると聞き、すぐに申し込みの手続きを行いました。

就職活動や卒業研究などでアルバイトを増やすことはできません。コロナ禍への不安も募る中で、経済的な負担を軽くできる制度があって本当に助かりました。