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新型コロナ関連

(コロナ後遺症 治療の現場から)“若いから大丈夫”間違い。強いだるさ、職失う人も/ヒラハタクリニック 平畑光一院長に聞く

2021年2月1日付

 新型コロナウイルスに感染し回復したものの、強い倦怠感(だるさ)や、気持ちの落ち込みといった後遺症に苦しむ人が増えている。昨年3月から対面やオンラインで、後遺症とみられる症状を訴える患者900人以上の診療に当たってきたヒラハタクリニック(東京都渋谷区)の平畑光一院長に見解を聞いた。

ヒラハタクリニック 平畑光一院長
ヒラハタクリニック 平畑光一院長

 ――後遺症の症状は。

 だるさが最もきつい。例えば、歯ブラシを持った腕を口元に近づける動作すら苦痛になる。強いだるさで働けなくなる人が多く、当院の患者約310人(労働者)のデータでは、10人以上が解雇されている。さらに、100人以上が休職に追い込まれ、「解雇予備軍」になっている状況だ。また、60%以上の人に労働で何らかの影響があり、人生に打撃を与えている。

 このほか息苦しさ、せき、胸や関節の痛みなど多彩な症状が見られる。よく報道で取り上げられる抜け毛や味覚・嗅覚の障害は、それほど頻度は高くない。当院で最も多い症状は、だるさ(95%)で、次は気持ちの落ち込み(85%)だ。後遺症そのものによる死亡リスクは低い一方、自殺のリスクは高いといえる。

 ――患者の特徴は。

 当院の患者を年代別で見ると、40代が一番多く、30代、20代、50代と続く。若い世代に多い病気といって間違いないだろう。また、1・4倍程度、女性が多い。後遺症の原因の一つに、本来は自分の体を守るはずの免疫が自分の体を攻撃してしまう「自己抗体」が挙げられるが、自己抗体が引き起こす病気は女性に多い。

 症状は少なくとも数年続く。だるさが強い場合、一生、付き合うことになる患者もいるかもしれない。

 ――治療法は。

 崩れた体のバランスを整えるため、漢方薬や市販のサプリメントで、症状の改善を狙う。血液検査をすると亜鉛不足の患者が多いが、抜け毛や味覚・嗅覚の障害には亜鉛の摂取が有効なことが多い。

 飲酒を控えるだけで症状が改善する場合も多く、禁酒は絶対にするべきだ。だるさがある人には、強い運動を3~4カ月避けるよう説明している。

 後遺症を疑う場合、専門外来を受診することが望ましいが、専門医がほとんどいないのが現状だ。

療養後の注意喚起が必要

 ――必要な支援は。

 ホテルでの療養が終わる際に、後遺症に関する案内が何もないと聞く。後遺症に備えた注意書きを渡してほしい。現時点で分かっている情報だけでも積極的に発信するべきだ。医療機関をたらい回しにされる現状や仕事への影響が大きい実情を踏まえれば、専用の相談窓口も必要ではないか。

 ――若い世代に訴えたいことは。

 当院の患者では、10代女性の60%以上、10代男性の45%が寝たきりか、寝たきりに近い状態になっている。特に重症の人が受診している可能性も高いので一概には言えないが、初期症状だけで「若者は重症化せず、死なないから大丈夫」と思っていたら大間違いだ。

 結局、全ての年代で感染対策を徹底する以外の防止策はない。人ごとではなく「自分の人生が危ない」「自分が働けなくなるかもしれない」という危機感を持ってほしい。