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新型コロナ関連

(実態調査結果から)コロナ禍と認知症/広島大学大学院 石井伸弥特任教授

2020年9月23日付

 2日に開かれた公明党認知症施策推進本部(本部長=古屋範子副代表)の会合で、広島大学大学院の石井伸弥特任教授が、新型コロナウイルスの感染拡大が認知症の人に与えた影響について講演した。要旨を紹介する。

広島大学大学院 石井伸弥特任教授
広島大学大学院 石井伸弥特任教授

 新型コロナによる国内の死亡者は80代以上に集中しているが、認知症の人も約4分の3が80代以上であり、認知症の人はコロナに対して高リスクだと言える。また、介護保険施設入所者のうち、約8割は80代以上であり、約9割は認知症だ。従って、コロナ対策において特に課題である介護施設での対応は、認知症高齢者にどう対応するかということと、ほぼ同じだと言えるだろう。

 その上で、認知症の人を巡っては「感染予防のための日常生活の制限で状態が悪化するのではないか」などの課題も考えられることから、広島大学と日本老年医学会は6~7月にオンラインで実態を調査。施設入所中の人については全国945の高齢者医療・介護施設に、在宅で暮らす人については介護支援専門員(ケアマネジャー)751人に、それぞれ状況を尋ねた。

■「状態が悪化」約4割/外出・面会制限などの影響

 調査結果によると、多くの施設が外出制限や家族・友人との面会制限を実施していた。在宅では、介護サービスを受けられないために、他の人と触れ合う時間や体を動かす時間が減るといった状況が多く見られた。

 こうした生活の変化によって認知症の人の状態が悪化したとの回答は、施設、ケアマネジャーそれぞれの約4割に上った。具体的には▽ADLと呼ばれる基本的日常生活動作(食事や着替えなど)の低下▽認知機能の低下▽行動・心理症状(不安・抑うつや徘徊など)の出現・悪化▽身体活動量の低下――などが幅広く見られた。

 さらに施設では、コロナの陽性者や濃厚接触者などの入所者がいた56施設のうち、約4割が「行動・心理症状のために対応困難だった」と回答し、その理由として半数以上が「徘徊などによる隔離困難」を挙げた。在宅では、介護サービスを受けられなくなった場合などに家族が介護を行ったとの回答が7割を超え、家族の身体的・精神的・金銭的負担が生じていた。

■家族の介護負担増にも対応を

 今後の対応としては、本人・家族に必要な情報の提供や家族の負担軽減、自宅での介護予防の取り組みへの支援、地域とのつながりを保つための支援、コロナと認知症の両方に対応できる医療体制の整備などが必要ではないか。認知症の人が感染した場合の隔離のあり方についても、多くの施設が悩んでいるので検討を求めたい。