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エディターズ・ノート

「野党連合政権」構想 共産党の革命への一里塚

2021年8月12日付 編集メモ

 日本共産党は、次期衆院選で「野党連合政権」の樹立を訴え、そのために立憲民主党など他の野党とは対立する日米安保条約「廃棄」など同党が掲げる主張は「政権に持ち込んだり、押し付けたりすることはしない」としきりに強調している。

 しかし、その一方で、8月4日の党内向けの講演会では志位和夫委員長が、安保条約廃棄を「堂々と主張する流れを強くすること」が、他の野党との共闘を前進させる「一番の力となる」と、力を込めて訴えた。

 党内向けの本音と党外への建前論のあからさまな使い分けだが、この“二重構造”こそ、日本共産党の得意とするやり方である。と言うのも、同党が狙う野党共闘は、党綱領に書かれた「統一戦線」方式と呼ばれる革命戦略に基づく取り組みだからだ。

 同方式の筋書きはこうだ。共産党は自由主義・資本主義の世界では少数政党なので、独自の主張は堅持するが、当面は革命や共産主義とは直接関係のない政策や目標の下で、それこそ巧言令色を尽くして他党との共闘関係を築き、その力を借り、利用して政権を奪取する。そして、獲得した政権内で、あの手この手の権謀術策を駆使して主導権を握りながら、独自の主張を実現し、社会主義・共産主義革命へと進んでいく――というものだ。

 第二次大戦後の東欧諸国などで共産主義政党が政権を担当していたが、いずれも独力で革命を成就した例はなく、こうした「統一戦線」方式によった。

 日本共産党は、この歴史の再現をもくろみ、“政権入りに当たっては独自の主張を持ち込まない”“さしあたって一致できる目標の範囲で”などとアピールし、他の野党を引きずり込み、統一戦線の政府をめざしているのである。同党が狙う「野党連合政権」とは、社会主義・共産主義革命への長期スケジュールに基づく一里塚にほかならない。(丈)