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エディターズ・ノート

共産、まやかしの年金財源案

2019年7月13日付 編集メモ

 参院選に入って、日本共産党は、将来の給付が確保されるように年金額の伸びを抑制する「マクロ経済スライド」の廃止を叫び、そのために必要な7兆円の財源として、三つの「具体的な提案」なるものを掲げている。しかし、その財源案、机上の空論や姑息な皮算用ばかりで「現実的だろうか」(7日付「産経」)との指摘が上がっている。

 同党の提案の第1は、高所得者の厚生年金保険料の引き上げで1兆円規模の“財源”を生み、厚生年金だけでなく国民年金にも活用しようというものだ。が、その“財源”は国民年金には使えないのである。サラリーマンと企業が折半する厚生年金の保険料収入を、自営業者などサラリーマン以外の人も加入する国民年金の給付に充てることは、筋が通らないからだ。厚生労働省も「財源を移すことは、労使の合意を得られるかというハードルがある」(年金課)として、制度の変更は困難との見方を示している。

 同党は、第2の提案として年金積立金の取り崩しを掲げるが、積立金は現行制度でも100年かけて取り崩し、給付に充てる計画が決まっている。同党の主張は“もっと早く取り崩せ”ということになるが、これは積立金の“先食い”にほかならず、若者などの現役世代や子どもたちが将来受け取る年金を減らすだけ。言語道断の案だ。

 第3の提案は、賃上げや正社員化による保険料の増収。これは既に自公政権が賃上げや正社員化を進め、着実に成果を上げている。12年の政権奪還から、6年間で正社員は131万人増加。18年度の最低賃金も、全国加重平均で12年度比125円増の時給874円まで引き上げられた。共産党の出る幕ではないのである。

 そもそも、マクロ経済スライドの廃止は「年金財政は厳しくなり、将来世代が受け取る年金の減額などにつながる可能性もある」(6月20日付「朝日」)、「ばかげた案」(同19日の党首討論で安倍晋三首相)にすぎない。これでは共産党の主張する「減らない年金」どころか「なくなる年金」になりかねないのである。(席)