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エディターズ・ノート

天皇即位の「賀詞」に賛成
共産の戦術的なソフト路線!?

2019年5月17日付 編集メモ

 そもそも天皇制廃止をめざす日本共産党が9日の衆院本会議と15日の参院本会議で、新天皇の即位に祝意を示す「賀詞」に賛成した。こうした姿勢に対し、何かと憶測が出されている。例えば13日付産経新聞では、「『ソフト路線』拍車――参院選 野党共闘停滞に焦り」との見出しを掲げ、こう伝えている。

 「今年2月の譲位前の上皇さまの『天皇陛下在位30年記念式典』に欠席した」のに、それが「一転」、「正反対の動き」を示したのは、夏の参院選1人区での野党候補一本化の擁立作業が遅れており、その「背景には主要政策で共産党と隔たりがある他党の慎重姿勢がある」と。そこで立憲民主党幹部が共産党に対し「連携を進める条件の一つとして反皇室色を薄めることが重要だと助言したという」ことが契機だったのではとの見方を示している。

 日本共産党は天皇制に対し、旧綱領では「君主制の廃止」を明記し、毎年の国会開会式も天皇が臨席することを理由として、ずっと欠席してきた。2004年制定の現綱領でも、天皇制は「民主主義および人間の平等の原則」と両立しないと否定され、将来の問題として、天皇制のない「民主共和制の政治体制の実現をはかる」としている。

 当然そのためには現憲法を廃棄し、めざす「民主(人民)共和国」にふさわしい社会主義憲法を制定することになる。それが同党の原則、革命的戦略で、その過程としての“現憲法擁護”はあくまで当面・一時的な“方便”“戦術的”なものだ。

 原則を押し隠しての戦術的な擬態が柔軟微笑の「ソフト路線」と見なさているのだが、14日付東京新聞では「薄まる“らしさ”『踏み込みすぎ』支持者反発も」との見出しで、「昔ながらの活動家や支持者には賀詞に反発したり批判的な声があるのも事実」といった党員らの声を報じている。

 「共産党支持層には最近の“皇室容認”の動きに内心、不満を持つ者も少なくないのだ。党が実利を得られなければ、不満が噴出する可能性も否定できない」(前記「産経」)との指摘は同党執行部にとっても頭が痛いのではないか。(心)