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エディターズ・ノート

立憲の唐突な「総合合算」“老後の安心”任せられない

2019年7月10日付 編集メモ

 参院選で立憲民主党は、公約に「老後の安心を高める」として、医療・介護・保育・障がい福祉にかかる負担額に、世帯所得に応じた上限額を設ける「総合合算制度」の導入を掲げた。

 同制度は、消費税率10%への引き上げと同時に導入する低所得者対策として、軽減税率や給付つき税額控除とともに検討された選択肢の一つだったが、「現実的ではない」(2016年2月の衆院財務金融委員会で財務省)として、採用されなかった代物だ。

 その理由は、はっきりしている。実際に▽課税最低限以下の所得把握や、所得は少ないが多額の金融資産がある人の資産把握が困難▽制度の前提となる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度が十分機能していない▽これまで確定申告をしなかった人も申請が必要になる――など、すぐには解決が難しい問題点が多かったからである。

 立憲民主党と参院選で共闘する共産党までも、この総合合算制度に対しては「実現のめども立っていない絵に描いた餅」(15年12月18日付「赤旗」)などと、激しく批判してきた。

 一方、何も「総合」しなくとも公明党の推進で、各家庭の負担軽減策は進んでいる。08年には、同じ世帯で医療と介護にかかった負担額に上限を設けて軽減する「高額医療・高額介護合算療養費制度」が実現。保育料についても、今年10月から幼児教育・保育の無償化が始まる。

 こうした中で、立憲民主党が先の衆院選でも掲げなかった総合合算制度の導入を持ち出してきたのには、あまりに唐突感を覚える。急場しのぎの故か、対象世帯や上限額など制度設計の大枠すら示さず、「財源などが課題」(5日付「朝日」)とも指摘されるありさまだ。

 「老後2000万円不足」問題に乗じて、国民の老後不安をあおっておきながら、対策として出してきたのがこれ。しかも選挙の共闘相手がさんざん批判してきたものとは……。とてもではないが、こんな政党に“老後の安心”を任せることはできないだろう。(板)