若者のための政治入門サイト KomeSTA! コメスタ powered by 公明新聞(公明党)

ムビむび太の映画でよのなか語るだけ

「師匠」か「支障」かを見極める

パワハラ
2021.5.21

むび太5月①

厳しい先輩がくれたタメになるアドバイス

 「1%の法則」

 これは、僕が以前勤めていた職場の上司が言っていた「良い仕事をするため」の法則です。

 人に頼まれた仕事を「100%」だとします。これを言われた通りにこなすだけでは「100%」のままですが、そこへ、自分なりの工夫を加えてプラス1%足すことを1年間365日続ければ大きく成長できると。このことを口酸っぱく言われていました。

 ここまで聞くと教育熱心な、いい上司のように見えるかも知れません。

 しかし…残念なことに、この上司は後々、会社からパワハラと認定されてしまうのです。部下に対して、罵詈雑言を浴びせ、キレると椅子を蹴り、部下から借金しても返さないのは日常茶飯事!上司の暴走を目の当たりにするたび、上司への信頼はマイナス1%減っていきました…。

 そんな前職の思い出も、すっかり忘れていたある日のこと、僕は大好きな映画『スターウォーズ 帝国の逆襲』を久々に見ました。

 主人公ルークたちが仲間と一緒に銀河を股にかけて悪と戦うロマンあふれるストーリーに胸をときめかせていると、そこにはとんでもないものが映っていることに気が付きました。

 それは、ルークにパワハラ行為を繰り返す師匠ヨーダの姿でした!

【あらすじ】 遠い昔、遥か彼方の銀河系で…。
 悪の組織である帝国軍に打ち勝つため反乱軍に入ったルーク・スカイウォーカー。銀河を救うジェダイの騎士となるため、沼の惑星ダゴバで師匠ヨーダの修行を受ける。
 修行の途中、仲間の危機を知ったルークは救出に向かい、ダース・ベイダーと対峙するが……。(1980年公開)

 子どもの頃に見た時は、違和感を覚えなかったヨーダの修行。

 しかし、実際にパワハラを体験した今の自分からすると、理不尽な修行に見えました。ルークにとってヨーダは「師匠」ではなく、人生を妨害する「支障」だったのか…?いや!そんなはずはない!映画の中でヨーダが話す哲学的な台詞の数々は僕に勇気をくれたし、今こうして文章を書いている机の上には、お気に入りのヨーダの人形が僕を優しく見守ってくれているじゃないか!

 このモヤモヤを晴らすため、厚生労働省が公開している「パワハラの典型的な6類型」と映画を見比べ、果たして修行内容は適切だったのか?を、見てみましょう。

6つのパワハラとヨーダの行為

パワハラの行為類型①身体的な攻撃

 ヨーダはルークに自分の体を背負わせ、沼地を猛ダッシュさせます!それどころか、前転させたり、垂れ下がる木々のツタを登らせます。また、ルークの二の腕を急につねる場面も確認できます。

 明らかに肉体的な苦痛を与えているように見えます。
 
パワハラの行為類型②精神的な攻撃

 分からないことに対してルークは質問をぶつけます。でも、ヨーダは「なぜ?は無しじゃ!余計な質問は捨てることじゃ!」の一点張り。

 誰も疑問に答えてくれない最悪の環境で、ルークは精神的ストレスを与えられていたことでしょう。

パワハラの行為類型③人間関係の切り離し

 遠く離れた惑星にいる仲間レイアとハン・ソロに会いに行こうしても、ヨーダは許可しません。もはや軟禁状態です。こうやって仲間外れにされ孤立させられていくこともパワハラにあたるようです。

パワハラの行為類型④過大な要求

 やっと小さい石ころをフォース(作中で描かれる超能力のようなもの)で持ち上げられるようになった程度のルークに対して、「沼に沈んだ戦闘機を持ち上げろ」という無茶ぶりをします。大型トラックを優に超えるサイズ感の乗り物を一人でどう持ち上げるのでしょうか。

 抽象的なアドバイスしかもらえていないルークには、かなり酷な要求に思えます。
 
パワハラの行為類型⑤過小な要求

 戦闘機を持ち上げろという無茶ぶりがあったかと思いきや、何の意味があるかも不明瞭な修行「逆立ちしながら足先にヨーダを乗せフォースで石を積み上げる」という意味不明な要求もします。
 
 悪の帝国を倒すことを夢見て故郷を離れたルークからすれば、自分の姿は惨めに映っていたことでしょう。

パワハラの行為類型⑥個の侵害

 ルークが星に到着してすぐのことです。持ち込んだトランク内をヨーダは許可なく詮索。大事な荷物をいくつも外へ放り投げます。揚げ句の果て、ヨーダはルークの懐中電灯を奪い自分の物であると主張。プライバシーの侵害だけにはとどまらない異常な行動に見えます。

厳しさの中から「良いところだけ」を探す

むび太5月②

 以上の点から、残念ながらヨーダの行為はパワハラの典型例と合致しているように見えちゃいます…。

 …嘘だぁああああああああああああああああ!

 もちろん、これはあくまで僕の超個人的な結論です。公開当時の40年前は美徳とされていた厳しい修行も、2021年の僕たちからすれば理不尽な修行です。

 なぜヨーダはこうした行為をしてしまったのか?

 理由の1つに、ジェネレーションギャップがあると思います。

 ルークと違い、ヨーダは約800歳と、はるかな年齢の開きがあります。ヨーダにとっては当たり前の教えでも、たったの十数年しか生きていないルークからすれば、一から説明をする必要があります。

 この事は現代社会で生きる私達にも同じことが言えると思います。

 自分が当たり前と思っている方法で後輩に教えたり、伝えたりすることは誤解を生むきっかけになってしまうかもしれません。

 しかし、人生修行中の僕たちが忘れてはいけないこともあります。

 ルークはヨーダの教えがあったからこそ、戦いのさなか、悪の誘惑に打ち勝てたのです。

 ヨーダの指導内容は適切だった。でも、伝え方が下手だった。例の僕の上司と同じです。

 パワハラそのものは決して許されません。でも、厳しくされた時、すぐにパワハラと決めつけ投げ出すのではなく、良いところを探すことも大事かもしれません。

 P.S. ヨーダさん、地球で勝手に騒いですみませんでした…。いつでもダゴバに呼んでください。私で良ければ、あなたの下で厳しい修行いくらでもお受けします。

ムビむび太

映画ライター

映像制作会社を経て、テレビ番組やYoutubeで映画紹介に携わる。年間の映画観賞本数は400本以上。

[ 購読申し込み ]

公明新聞電子版

政権与党唯一の"日刊紙"スマホアプリ。検索、シェア、マイワード機能。KomeSTA!連動も。