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ムビむび太の映画でよのなか語るだけ

特殊?普通?みんなが共に生きる社会

差別、偏見
2021.9.17

むび太9月

マイノリティーへの無理解

 「ゲイはいつ治すの?」

 これは僕の性的マイノリティーの友達であるA君が昔からの親友に言われた言葉です。ショックを受けたA君はその場では何も言い返す事ができず心の中で「ゲイは病気じゃないのに…」と悲しい思いをしたそうです。

 A君は海外の男性と日本でパートナーシップを結び、アメリカでは入籍して2カ国を行き来しながら暮らしています。アメリカでは手をつないで歩いていると「ナイスカップルだね!」と見知らぬ人が声をかけ応援してくれることもあるそうです。もちろん差別が全く無いわけではないですが、理解を示し偏見から守ってくれる人もいるそうです。

 日本では、地域によってパートナーシップ、ファミリーシップ制度が導入されつつも、周囲からの理解を得るハードルは高いようです。A君の旦那さんがコロナにかかり入院した時も「家族ではない」という理由でA君は、病院から病状を教えてもらえずに不安な思いをしたそうです。

 A君から色んな悩みを聞いているうちに、幼い頃に見た映画『X-MEN ファイナルディシジョン』のことを思い出しました。

【X-MEN ファイナルディシジョン】 突然変異によって特殊能力を得たミュータントの2大勢力「X-MEN」と、迫害を恐れ人類を敵視している「ブラザーフッド」たちの戦いを描くシリーズ第3弾。政府がミュータントの能力を治療することができる新薬“キュア”を開発。ミュータント達は「ありのまま生きるか」「治療して一般人として生きるか」の選択を迫られるが……。(2006年公開)

能力は病気?差別を描いたヒーロー映画

 『X-MEN』はアメリカンコミックが原作のヒーロー映画です。ミュータントと呼ばれる特殊能力を持った主人公たちが戦う姿を、小学生の僕は夢中になって見ていました。

 しかし、シリーズ3作目の本作には驚かされました。

 主人公たちが目からビームを出したり、天候を操ったり、手から長い爪を出したりするなどの能力は個性であり長所だと思っていました。しかし、この映画では、それらを病気だとはっきり明言するシーンがあるのです。

 その病気の治療のために“キュア”と呼ばれる薬が開発され、ミュータントたちが次々と能力を失っていく様子が衝撃的でした。

 しかし、大人になってから『X-MEN』は単なるヒーロー映画作品ではなく、一般的な世の中の人々と異なる個性を持つ彼らが差別や偏見をどう乗り越えていくかにも焦点を当てた作品だということを知りました。

 劇中で特に忘れられないのが、遺伝子の突然変異により背中から大きな翼が生えたミュータントに対し、父親が治療薬“キュア”を与えようとする場面です。

 「一緒に幸せになれるんだ」と治療を勧める父親に対して「それはお父さん1人の幸せでしょ?」と言う息子。

 マイノリティーに対する偏見と無理解を表した見事なシーンでした。

“ありのまま”生きることができる社会

 むび太9月②

 興味深いのは治療薬“キュア”が開発され、ミュータント同士でも意見が割れる点です。自分の能力に誇りを持って生きるミュータントもいれば、障害として悩むミュータントもいて「迫害を避けるために治療して何が悪い?」と治療を肯定する意見を出すミュータントもいました。

 自分がマイノリティーであることを周囲に公言したり、マイノリティーとしてタレント活動をしている人もいます。しかし、その一方で親にも友達にもカミングアウトできずに隠している人もたくさんいることを僕たちは知っておかなければなりません。

 『X-MEN』の中ではミュータントたちの持つ能力を「周囲とは違う特殊なこと」として描いていますし、僕自身もこの文章内で「マイノリティー」などの言葉を使っています。でも、本来はその人が持つアイデンティティを特異な事として引き立たせることはせず、皆が本当の意味でありのまま共生できる社会が理想なのかもしれません。

 僕も本作をもう一度、見直してみます。皆さんも一緒に見てみませんか。

ムビむび太

映画ライター

映像制作会社を経て、テレビ番組やYoutubeで映画紹介に携わる。年間の映画観賞本数は400本以上。

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