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コメデジ・トーク

国交正常化提言50周年
日中友好の絆を未来まで

「公明新聞」2018年9月2日付

 今月(2018年9月)8日は、公明党創立者である創価学会の池田大作名誉会長(当時・会長)が、歴史的な「日中国交正常化提言」を発表してから50周年を迎えます。一方、先月12日は、日中平和友好条約の締結40周年の節目でもありました。そこで今回は、元駐中国大使で宮本アジア研究所代表の宮本雄二氏と、公明党の山口那津男代表が、両国友好に果たした公明党の役割と、未来への展望などについて語り合いました。

山口那津男代表と宮本雄二氏
山口那津男代表と宮本雄二氏

(山口)党創立者の英断に深い敬意
(宮本)公明は見事な“メッセンジャー”

 山口那津男代表 今年は日中両国にとって歴史的な節目の年です。党創立者による提言の意義を次世代に伝えるとともに、両国友好の根本的な精神として、友好と発展、世界の平和に寄与していきたいと思います。

 宮本雄二代表 外務省で仕事をしてきた者として、日本と中国の友好を現実のものとするために、池田名誉会長をはじめ先人たちが努力し、それが今日まで受け継がれていることに感謝しています。50年前の提言は大変に意義深いものだったと考えています。

元駐中国大使、宮本アジア研究所代表・宮本雄二氏
元駐中国大使、宮本アジア研究所代表・宮本雄二氏

 山口 第2次世界大戦後、冷戦構造が進み、米国との関係を重視して中国敵視政策に傾く当時の日本にあって、中国との国交正常化を主張することは極めて危険なことでもありました。

 しかし池田名誉会長は、両国の友好関係が世界の平和には必要だとの信念を貫き、1968年9月8日、日中国交正常化提言を世に問いました。その英断と並々ならぬ勇気、胆力に、私は深い尊敬の念を抱いています。

 宮本 中国の周恩来首相も、大衆に根差した創価学会、そして公明党に強い関心を示していました。国交回復が日本外交の最大の課題となる中、中国側からも水面下の接触があり、71年6月には党として初の訪中が実現しましたね。

 山口 国交正常化までに3度の党訪中団を派遣しています。その間、周首相とも会談を重ね、国交樹立に向けた共同声明の原案や、さまざまな条件が示され、公明党はそのメモを日本政府に届けました。それをベースに72年9月29日、国交正常化が実現したのです。党の歴史においても画期的な出来事でした。

 宮本 当時の社会党をはじめとする野党が、政府・自民党との接点が希薄な中で、自民党が動かなければ現実の政策は動かないとの立場だった公明党にしか、日中双方の“メッセンジャー”は担えませんでした。そうした背景もあって、中国側も公明党との関係を重視していました。そして、公明党は見事にそれに応えたのです。

(宮本)関係増進へ汗流す姿勢を中国も評価

 山口 国交正常化が実現し、次の大きな目標は平和友好条約の締結でした。公明党は条約の準備段階でも毎年のように訪中団を送り、鄧小平副首相ら要人と会談を重ね、平和友好条約の早期締結に向けた中国側の意向を日本政府に伝えるなど、具体的に日中双方の橋渡し役を果たしました。そして78年8月12日、日中平和友好条約が調印されました。

山口那津男・公明党代表
山口那津男・公明党代表

 宮本 山口代表の話を伺いながら、当時の記憶が鮮明によみがえってきました。

 74年5月の池田名誉会長の初訪中時に、たまたま私も高島益郎アジア局長のかばん持ちとして訪中していました。実はその際、名誉会長から条約に対する中国側の認識について外務省にアドバイスがあったのです。その年の11月から条約の予備交渉が始まるわけですが、それに向けて日本としても大事な心構えをすることができました。

 山口 それは貴重なエピソードですね。74年12月の池田名誉会長と周首相との会談では、(1)両国の世々代々にわたる友好を築く(2)平和友好条約の締結を急ぐ――との認識で一致し、周首相からは「将来、中国が経済的に発展を遂げても、超大国にはならない」との趣旨の発言がありました。この立場は現在でも中国のリーダーに貫かれていると信じているし、今後も継承してもらいたいと期待しています。

 宮本 なぜ中国は、日中友好を公明党に託したのか。私は池田名誉会長への信頼は当然として、公明党には両国の友好関係を増進しなければならないという信念があり、きちんとした歴史認識を持った上で、両国の未来のために汗を流そうという姿勢が明確だったからだと思います。

 私も中国在任当時、何度か公明党の訪中団を受け入れましたが、公明党の日中友好に懸けるブレない姿勢には安心できました。公明党は日中関係強化のために、重要で強力なチャンネル(窓口)です。

(宮本)人的交流が結び付き強める
(山口)「急がば回れ」で信頼構築を

 山口 私が2010年12月に訪中した際、当時、国家副主席だった習近平氏と会談しました。習氏とは09年に日本でお会いして以来、2回目の会談でしたが、その際、歌手でもある彭麗媛夫人が日本公演を行った時の写真などを差し上げました。それを見た習氏の表情がパッと明るくなり、「帰宅したら妻と楽しい語らいができます」と。家族を大事にする習氏のお人柄が自然に現れていました。

北京の人民大会堂で習近平国家主席(右)と会談する山口代表=2017年12月1日(中国共産党提供)
北京の人民大会堂で習近平国家主席(右)と会談する山口代表=2017年12月1日(中国共産党提供)

 宮本 やはり実際に会って、語り合う中で信頼関係は育まれていきますね。その意味でも今後、両国の友好へ力を入れるべき分野は、「人の交流」だと考えています。

 昨年、日本を訪れた中国人観光客は735万人以上。今年は確実に800万人を超えると言われている。たくさんの中国人が日常の日本に触れ、わが国への親近感を持って帰国しています。そしてインターネットを通して何億人という中国人に日本の感想を発信しているのです。中国社会の日本に対する認識は、確実に変わりつつあります。

 山口 おっしゃる通り、「急がば回れ」ですね。

 私は東京大学の中国人留学生学友会の顧問を務めており、毎年、都内の江戸川河川敷で開かれる花火大会に数十人の留学生を招待し、日本の夏を味わってもらっています。浴衣を着てくる学生もいて、うちわを片手に夜空を見上げ、楽しい時間を過ごしています。

 宮本 一方で、いまだ中国を訪れる日本人が少ないのは残念です。一人でも多くの日本人が中国を訪れ、“普通の中国人”と接してもらいたいと思います。

 食やファッションなど幅広い文化交流を日中双方が意識的に強化していくことで、国民同士の結び付きが強くなり、両国関係は一層安定していくでしょう。

 ところで山口代表は、5日から中国を訪問されるそうですね?

 山口 各界の要人との会談のほか、周首相の母校である南開大学なども訪問する予定です。池田名誉会長をはじめ日中友好を切り開いた先人の苦闘に思いをはせるとともに、友好の絆を未来へつなげるために、政党間だけではなく、教育、文化、経済など各分野で幅広く、厚みのある交流にしていきたいと思います。

 宮本 日中関係が雨の日も風の日も、公明党はベテランから若手まで、各世代で中国との交流を深めています。今後も日本と中国が安定し、協力的な友好関係を築くために尽力していただきたい。

 山口 ありがとうございます。公明党は今後も一貫して、「日中友好の橋渡し」という大切な使命を果たしてまいります。

 みやもと・ゆうじ 1946年7月、福岡県生まれ。69年に外務省入省後、中国課長、駐ミャンマー大使、駐中国大使などを歴任し、2010年に退官。現在は日中友好会館会長代行・副会長、日中関係学会会長などを務める。