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コメデジ・トーク

子どもが輝く
教育立国へ

「公明新聞」2018年12月21日付

 文部科学省の「問題行動・不登校調査」によると、全国の小中学校などで2017年度に認知された、いじめの件数が約41万件に上り、過去最多を更新。不登校児童生徒数も約19万人を数え、なお増加傾向にあります。子どもが輝く教育を築くために今、何が求められているのか。プロレスラーで、青少年の健全育成に取り組む「NPO法人 九州プロレス」(メモ)の筑前りょう太理事長と、元中学保健体育教師で党教育改革推進本部事務局次長の、しもの六太氏(参院選予定候補=福岡選挙区)に語り合ってもらいました。

(筑前)不登校児らとプロレス授業
(しもの)「ST学習」通し、いじめ撲滅を

 しもの六太 九州プロレスが今年で設立10周年を迎えたことに心から敬意を表します。そもそもプロレス業界の中でNPO法人として旗揚げしたプロレス団体は珍しいですよね。

 筑前りょう太 世界的に見ても初めての試みでした。私たちの願いは、「九州ば元気にするバイ!!」をモットーに、育ててもらった地元にプロレスを通して恩返しがしたい。ただ、それだけなんです。株式会社よりもNPO法人の方が、その趣旨を実現するのに適していました。

 しもの 素晴らしい社会貢献だと思います。私も「福岡から日本を元気にしたい!」との思いで来年の参院選出馬を決意しました。

 筑前 ここまで活動を継続できているのも第一交通産業をはじめ、約200社の企業・団体の皆さまのおかげです。真心の支援があってこそ、九州各地での試合や高齢者施設などへの慰問活動ができています。感謝しかありません。

プロレスラー・筑前りょう太氏(NPO法人九州プロレス理事長)
プロレスラー・筑前りょう太氏(NPO法人九州プロレス理事長)

 しもの 力道山やタイガーマスクなど、昔からプロレスラーは子どもたちだけでなく、大人にとっても憧れの存在であり、正義の象徴でした。

 筑前 僕らも常に「強さと優しさ」を兼ね備えた選手であらねばならないと考えています。慰問活動では一方的に相手を慰めているのではありません。お互いに“元気と元気を交換する会”だと思っています。

 しもの 同じように、教育現場でも子どもたちの「強さと優しさ」を育んでいければ、いじめを根絶できると思います。私自身、教員時代には、生徒たちに「人格者になろう」と呼び掛け、一人一人の限りない可能性を引き出す教育実践に取り組んできました。

 筑前 私も若手選手を育成する際には、絶対に私よりも素晴らしい選手になるはずだと、その可能性を強く信じています。

 しもの 私の体育の授業では、全生徒がクロール1000メートルを完泳し、多くの男子生徒が体操選手並みのバク転やバク宙を習得します。その秘訣は、私が考案した、「できる生徒」が、「できない生徒」を教えるST(スモール・ティーチャー)学習にあります。この学習法によって、お互いに感謝し合える関係も育まれ、いじめは全く起きていません。

 筑前 ST学習とは異なりますが、設立当初から九州プロレスでは、中学・高校で不登校になってしまった生徒たちが通うフリースクールと連携して、練習道場を使った「プロレス授業」に取り組んでいます。

 しもの 非常に興味深いですね。私も教員時代、不登校の中学3年の男子生徒を受け持った経験があります。一緒に自転車でツーリングをしたり、クラスの仲間と一緒にキャンプをしたり。こうした体験学習を重ねた結果、学校に通えるようになり、最後はクラス全員で卒業できました。今の教育現場では、こうした不登校の生徒に対して、十分に手が行き届いていないのが実情だと思います。

 筑前 このプロレス授業の最終的なゴールは、親御さんを招待してプロレスの試合を披露することにあります。それぞれがリングネームを決め、顔にペイントして、好きな入場テーマ曲に乗ってリングへ上がる。この面白くて、たくましい姿を見ると、親御さんの多くは泣きながら笑いますね。

 しもの まさに社会教育の真骨頂ではないでしょうか。これをヒントに都道府県の教育委員会でも何か新しい取り組みができないか。大きな可能性を感じます。

(しもの)公立夜間中学の設置などめざす
(筑前)若者の“なりたい自分”後押し

 筑前 不登校で苦しんだ子どもにとって「こんな自分でも人を笑顔にし、感動させることができる」との体験が大きな自信につながっています。どんな子どもであっても、自分の将来を明るくしたいとの思いがあります。

 しもの 同感です。参院選出馬に当たって私は、(1)一人も置き去りにしない(2)家庭の教育負担を軽減(3)子どもの命を守る――三つの教育政策を掲げています。これまで九州になかった不登校・ひきこもり生徒の“居場所”ともなる公立夜間中学校の設置や、副教材の購入費助成、いじめや虐待などの問題を多様な専門スタッフで対応する「チーム学校」の推進などが主な柱です。

党教育改革推進本部事務局次長・しもの六太氏(参院選予定候補=福岡選挙区)
党教育改革推進本部事務局次長・しもの六太氏(参院選予定候補=福岡選挙区)

 筑前 ぜひ実現してほしいですね。今の若者は情報に触れる機会が多いからなのか、「自分が何をしたいのか」より、「周囲からどう見られているか」を気にします。そのために、なかなか動けない窮屈な生き方になっている人が多いと思います。

 しもの 公認以来、約600社の企業を訪問させていただきました。多くの経営者が抱えている共通の課題は、社内における「人材育成」についてでした。新しいことを提案したり、積極的な姿勢で仕事に取り組む若者が減ってきているというのです。

 筑前 そういう人ほど、心から燃えて何かをやりたい、そんな自分になりたいと思っているはずです。それを全力で応援したい。実は、九州プロレスでは、民間企業の依頼を受けてプロレスによる社員研修も行っています。リング上で社員同士が力を合わせて基礎体力のトレーニングをします。目玉はスクワット200回です。

 しもの 体力には個人差がありますが、全員がそろってクリアできますか。

 筑前 これは、ST学習にも通じるかもしれませんが、できる人が、できない人のペースに寄り添っていけば、必ず達成できます。終わった後の達成感は、ひとしおです。お互いの団結にもつながります。次の日、みんな筋肉痛になりますが(笑)。

 しもの 私の信念は「国づくりは人づくり。その礎となる教育の目的は、子どもの幸福にある」との考えです。筑前理事長の根幹にも「人間の可能性を信じ抜く信念」があるように感じます。

 筑前 過分な言葉をいただき恐縮です。しものさんには政治の世界で、子どもたちの幸福を実現する教育環境の構築に向け、その先頭に立っていただきたい。心から期待しています。

 しもの ありがとうございます。子どもが輝く「教育立国」をめざし、全身全霊で頑張ってまいります。

 しもの・筑前 これからも一緒に九州、福岡ば元気にするバイ!!

 ちくぜん・りょうた 福岡県志免町出身。本名・椎葉亮司。プロレスラー。九州産業大学卒業後、1997年に単身メキシコへ渡り、現地でミル・マスカラスを相手にデビュー。2000年に帰国後、新日本プロレスなどで活躍。08年に「NPO法人 九州プロレス」を設立。14年にはボブ・サップに勝利した。45歳。

 しもの・ろくた 党教育改革推進本部事務局次長。福岡教育大学大学院修了。元中学保健体育教師。驚異の指導法「しもの式体育」が注目され、日本テレビ系「世界一受けたい授業」などに出演。読売教育賞・優秀賞や文部科学大臣優秀教員表彰など数々の教育賞を受賞。福岡県北九州市生まれ、太宰府市在住。54歳。

(メモ)NPO法人 九州プロレス 年間約50試合のほか、毎週、練習道場で不登校生徒にプロレスを指導。また、年間300を超す福祉施設などを慰問。熊本地震などの被災地で復興支援イベントも実施。現在、12人の選手が在籍する。

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