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コメデジ・トーク

(はつらつトーク2021)コロナ禍乗り越え「未来社会」へ前進

「公明新聞」2021年4月17日付

 新型コロナ収束のカギを握るワクチン接種――。国内でも順次、進められる中、国産のコロナワクチン誕生への期待も高まっています。このワクチン開発の第一人者で、2025年大阪・関西万博の大阪パビリオン推進委員会総合プロデューサーも務める森下竜一・大阪大学大学院教授と、公明党の佐藤しげき衆院議員がワクチンや、万博を巡って大いに語り合いました。

■国産承認へ治験見直しを(森下)
■「新基準」の検討急ぐべき(佐藤)

 佐藤しげき氏 森下教授には昨年、党大阪府本部の夏季議員研修会でも講演していただきました。新型コロナワクチンは医療従事者に続いて高齢者への接種が始まっています。改めてワクチンの必要性について確認したいと思います。

 森下竜一氏 公明党の皆さんには国産ワクチン開発に向け臨床試験(治験)への財政支援などを推進していただきました。ワクチンとは簡単に言えば抗体をつくるものです。抗体ができれば、感染予防と重症化を防ぐことができます。集団全体で約7割の人たちが抗体を持てば、感染を収束できるといわれています。結果的に社会を安定化させるための一番の“武器”になると思っています。

森下教授が開発を進めるDNAワクチン
森下教授が開発を進めるDNAワクチン

 佐藤 国産のDNAワクチン(ウイルスの遺伝情報の一部を接種)の開発に対し、国民の期待は日増しに高まっています。

 森下 3段階ある治験のうち第2・3相の500人規模の接種が終わりました。安全性には問題がなく、有効性については6月にも結果が出る予定です。従来のインフルエンザワクチンと同じレベルであれば、承認される段階まで来ています。ただし、最終段階で数万人規模の治験が求められると、さらに時間がかかります。今後、いかに厚生労働省から承認を得るかが最大の難関です。

 佐藤 日本の感染者数は欧米に比べて少ないため、国内での大規模治験は困難です。この状況を踏まえ公明党は先月、国産ワクチンの実用化に向け新たな承認方法を早急に検討すべきだと政府に要望しました。

 森下 新たな承認方法は世界的な実情にも適していると思います。既に変異株が広がりつつある状況を踏まえると、大規模な治験は難しい。代替可能な基準で承認するべきだとの議論が既に始まっています。

 佐藤 今後、各国がワクチンを戦略物資として活用し、「ワクチン外交」を強める動きが顕著になることも考えられます。国家戦略として国産ワクチンを開発していくことは、極めて大事だと認識しています。

 森下 ご指摘の通りです。私が一番心配しているのは来年以降のワクチン確保です。日本型の変異株が出た場合、ワクチンを開発できるのは国内メーカーしかありません。今のうちに承認を進め、オールジャパンで対応していくことが有事の備えになります。

 佐藤 今後、未知のウイルスによるパンデミック(世界的大流行)に備え、国を挙げて、国産ワクチン開発を進める体制の整備と、ワクチン・治療薬の開発や感染症対策に携わる人材の育成や予算を確保し、中長期的な視点で対策を講じる必要性もあります。

 森下 外交を含め政治がグリップして、国としての方針、具体的な取り組みを決め、ぜひとも「喉元過ぎれば……」とならぬようにしてほしいです。

■万博きっかけに経済を浮揚(森下)
■心が弾む構想の成功を応援(佐藤)

 佐藤 「コロナ禍を克服した世界」を示す場として大事なのが万国博覧会と位置付けています。4年後には、55年ぶりに大阪で2回目の開催が予定されています。私自身、党の2025年国際博覧会(大阪・関西万博)推進本部長として思い入れも人一倍強い。

 前回、大阪万博が開催された当時、私は小学5年生でしたが、太陽の塔や月の石などを見た記憶は、今でも鮮明に残っています。

 森下 あの万博は私にとって、世界につながる最初の経験でした。当時、小学2年生で、岡山から特急つばめで会場に向かいました。フランスパンが硬すぎて食べられなかったことを覚えています(笑い)。

 佐藤 現段階でパビリオンの構想などについて、どう考えていますか。

 森下 大阪パビリオンのテーマは、「生まれ変わり」や「再生」の意味がある「REBORN(リボーン)」です。例えば、肌年齢を10歳若返らせるために、こんな食事や運動が良いという情報をアプリで提供するなど、いろいろな先進技術を活用しながら、人体などについて学ぶ機会を与えることができればと思います。

 佐藤 10歳も若返る!? 健康への関心が高まってきているだけに、来場者には喜ばれそうですね。

 森下 年内にはインターネット上で仮想パビリオン「バーチャル大阪館(仮称)」がオープンします。そこで得票が一番多いものを万博で採用するなど、全員参加で作り上げたいと思っています。

 佐藤 私ども党推進本部は昨年末、世代を超えた人の参加、中小企業やベンチャー企業の参加を促すように基本方針の修正を井上信治万博相に求めました。

 森下 各大学や産業界の技術を紹介してもらう場を設けるなど、関西経済が浮揚する一つのきっかけにしていきたいです。

 佐藤 大阪は中小企業の街です。中小企業が活気づくことが経済の浮揚に直結します。

 森下 実は、ソフト面でのレガシー(遺産)になるよう、来場者の言語情報や生体情報などのビッグデータを集め、参加企業に生かしてもらう取り組みも考えています。規制改革を進めて、人工知能(AI)やビッグデータを活用した先端技術社会をめざす国の「スーパーシティ構想」を実現する場にしたいと思っています。

 佐藤 前回の大阪万博で最も話題になった展示の一つに「人間洗濯機」がありました。今回も大阪ならではの「おもろいモノ」を取り入れ、多くの人がワクワクできるよう、構想を後押ししていきたいです。

 森下 前回と大きく異なる点は、世界とのつながりです。今回の万博でもバーチャル空間でアバター(分身)をつくってコミュニケーションするなど、世界80億人とつながることもめざしています。

 佐藤 同時期に、国内最大級の食イベント「食博覧会・大阪」も会場近くで開催予定です。万博との相乗効果で盛り上がっていくのではないでしょうか。

 森下 会場だけではなく、大阪府内の観光施設を利用したサテライト会場の設置や、東京でのイベント開催など、万博への関心を高めるような仕掛けをつくっていきたいです。

■コロナ禍 安全・安心に強まる関心(森下)
■生活苦や、悩む人に寄り添う(佐藤)

 佐藤 コロナ後の社会には大きな変化が訪れると多くの識者が見ています。

 森下 当面、リアルな旅行などが制限されるので、「本物を見たい」という志向が強まるでしょう。同時に、安全・安心の観点で日本の魅力が評価され、一層浸透していくと思います。

 佐藤 「働き方」は大きく変わりました。18年の働き方改革関連法成立に向け、私が党の意見をまとめていた当時から求めていたテレワークは、コロナ禍で一気に広がりました。

 森下 東京一極集中が是正され、各地域で経済圏が形成されていくでしょう。

 佐藤 一方で、社会的孤立や増加する自殺者など、コロナ禍で浮き彫りになった問題もあります。生活に苦しむ人や悩みを抱えている人に政治が寄り添い、変えていかなければと決意しています。

 森下 コロナ禍のように平時ではない時代には、政治が前面に出ないと、政策が前に進まないと痛感します。ぜひ佐藤議員には、万博の成功はもちろん、ワクチンの承認や、科学技術の振興など、政策をリードしていってほしい。

 佐藤 政治に携わる者として、期待に沿えるよう全身全霊で取り組んでまいります。

 もりした・りゅういち 1962年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄付講座教授。国産の新型コロナワクチン開発の第一人者。大学発のバイオベンチャーとして日本で初めて上場した「アンジェス株式会社」を創業。2025年大阪・関西万国博覧会の大阪パビリオン推進委員会総合プロデューサーも務める。著書に『新型コロナワクチンを打つ前に読む本』(かや書房)など多数。